第六章 苦悩

第六章 ~苦悩~ 罪悪感と悲壮感と

ある日のこと、ノボルは由香に紙包みを渡した。開けてみると、高級なブランドもののバッグが入っていた。 ノボルと遊び始めた頃、ペラペラめくっていた雑誌に載っていたバッグを指さして 「何でもしてくれるんだったら、これ買ってきてよ」 と冗談で言ったこ…

第六章 ~苦悩~ ノボルとお兄ちゃん

「もしもし、由香?突然だけど、私、この前から吉川君とつきあってるんだ」 電話の主は、純子だった。 「え?吉川君と?」 「うん、あの合コンで意気投合してね。幹事の由香には報告しておこうと思って」 純子は、ノボルと出会った合コンに誘った、高校時代…

第六章 ~苦悩~ 少しずつ動き始めた心の時計

「由香ちゃん、つきあってる人いるんでしょ?なのに、どうしてそんなに元気ないの?」 というノボルの言葉に、由香はポツリポツリと話し始めた。 つきあって半年。彼はバイトが忙しくなって、なかなか連絡をくれなくなったこと。寂しさをまぎらせるために、…

第六章 ~苦悩~ 可愛い顔して強引な男

しかし、ノボルから電話があったのは、そのすぐ後のことだった。 「由香ちゃん?俺、ノボル。さっきは送ってもらってありがとう」 「何でうちの電話番号知ってるのよ?」 「ごめん。克己から聞き出した。どうしてももう一度会って欲しくて」 「私、彼氏がい…

第六章 ~苦悩~ 克己からの電話

「由香?彼とはどうなんだよ?その後」 克己から電話があったのは、由香がそうやって自己嫌悪に陥っている頃だった。 克己は、お兄ちゃんに「元カレがヨリを戻そうと言って困っている」と嘘の相談をしたあの元カレだった。 先日、克己から電話があったとき、…

第六章 ~苦悩~ 電話を待つだけの日々

ある日曜日、お兄ちゃんからもらったシフト表を見ると、ちょうど彼の入っている日だった。 由香はまた、彼のバイト先に行ってみることにした。忙しそうにしていたら、表から彼の姿を見てみるだけでもいい…と思った。 コンビニの前に車を止め、中をのぞいてみ…

第六章 ~苦悩~ 目に見えない厚い壁

「外で待っててくれる?もうすぐ休憩だから、近くの喫茶店でお茶でも飲もう」 お兄ちゃんがそう言うので、由香は外に出て待っていた。 「ごめん、お待たせ。あそこ、いつも休憩のときに行く喫茶店なんだ」 しばらくすると彼が一軒の喫茶店を指刺しながら出て…

第六章 ~苦悩~ 会いたい

定期便のような、夜9時の電話がなった。 「あ、俺…」 「お兄ちゃん。バイト、終わったの?」 「うん、さっき。あの…ね、今日はおまえに謝ることがあって…」 「何?キスが下手なこと?」 「そういうことじゃ…ないんだ」 冗談が通じない様子だったので、由香は…