第七章 転機

第七章 ~転機~ 身も心もすれ違い

ある日、学校の帰り道、バイトに行くために国道を車で走っていた。短大はその国道沿いにあり、お兄ちゃんの家と彼が勤めるコンビニは、その国道から入ってすぐのところにあった。それは由香のバイト先のコンビニと学校の中間地点だった。由香はいつも国道を…

第七章 ~転機~ 夢ですら会えない

大学へ行き、終わったらバイトに入り、いつもの店が終われば店長代理をしている店に行き…そうやって全ての時間を埋めてしまえば、いつの間にか心は満杯になり、お兄ちゃんのことも忘れられると思った。でも、考える時間は寝ているあいだにもあった。夢にまで…

第七章 ~転機~ 流れていく月日

「休みの日って何してるの?」店長が話しを変えた。「休みって言っても、ここのところはほとんどとってないし。今は趣味って言えるほどのことは何もないかな」「趣味は男でしょ?」「そんな訳ないでしょう。ひどいよ、店長」由香は怒りながら言った。「はは…

第七章 ~転機~ 過去の人

お兄ちゃんがよく買ってくれたな…と思いながらブラックコーヒーを品出ししていた。どうしてるだろう、最後に連絡があってからどれだけ経っただろう…「おーい、レジ。ぼんやりしてちゃ駄目だよ」お兄ちゃんのことを考えていた由香は、レジに人が並んでいるこ…

第七章 ~転機~ さよならノボル

朝は快晴だったのに夕方になって雨が降り始めた。由香はノボルの家に着く数キロ手前で車を停め静かに言った。「ノボルと会うのは、今日で終わりにする」「どうして?俺が事故したから?」「ううん、今日のことは関係ない。少し前から考えてた。私があの人を…

第七章 ~転機~ 辛さを増長するだけの風景

コンビニのオープンラッシュが続き、やっと一段落した。久しぶりに休みがとれたことをノボルに伝えると朝早くからやってきた。「由香から電話くれるなんて、初めてじゃない?忙しそうだけど、体は大丈夫なの?無理してない?今日はどこ行きたい?海?山?そ…

第七章 ~転機~ 2本のカセット

土日はオープン店の手伝い、平日は朝起きて学校へ行き、終わったらいつも店の夕勤。夕勤を終えたら店長代理を頼まれた店へ行きシフトの確認と発注、返本、売変、その日の実査締め…夜中まで働いて、家に帰ったら寝るだけ。そんな生活も悪くはなかった。全ての…

第七章 ~転機~ 店長代理

由香がコンビニの仕事にも馴れた頃、近くに同じ系列の店舗が増えることになった。日々風景が変わるかのようにコンビニが乱立され、毎日のように今日はどこどこのオープンだという言葉を聞いていた。 そのうち由香も、オープンの手伝いに借り出されるようにな…

第七章 ~転機~ コンビニのバイト

「そうだ、俺、先月からバイト始めたんだよ」 克己はさりげなく話題を変えた。 「何のバイト?」 「ほら俺の家の近くに新しくコンビニが出来たって言ってただろ?そこ」 『コンビニ、お兄ちゃんと一緒か』由香の心のつぶやきに気づくこともなく、克己は続け…

第七章 ~転機~ 行き場のない寂しさ

季節は巡り、由香は大学生活2年目の春を迎えようとしていた。 サークルは、お兄ちゃんの忙しさで、開催されることもなく、解散状態になっていた。 お兄ちゃんからの電話は、この数ヶ月のあいだに一度か二度だけだった。 「俺ね、夜仕事することが多いでしょ…